先月末テルアビブでは50カ国以上からの参加者が集まる、大規模サイバーセキュリティーの見本市「サイバーテック2016」が開催された。日本勢は2020年オリンピックに向けた連携を図る、特別ブースを設けたと現地メディアでも大きく取り上げられていた。
2015年IVCのレポートによると、この産業における昨年のEXIT合計件数は18件の金額にして12億USD(約1400億円)MicrosoftによりAdallomが、PaypalによりCyactive等が買収された。イスラエルに拠点を置くサイバーセキュリティー企業は430社。過去4年間は1年に60社以上のペースでスタートアップが生まれている。
会場では新興企業が目立ち、製品をまだ持たないアイディア段階の会社も多く見られた。IVCの統計によれば、半数は従業員5人以下の小さなスタートアップなのである。この産業がいかに急成長しているかを物語っている。市場調査会社の調べによれば2020年には1700億USD(18兆円)規模に成長すると予想される。
バブルのようにも聞こえるが、決してオーバーではないのかもしれない。例えばCryptowallというランサムウェア(恐喝ウィルス)の実際に支払われた被害額は2015年370億円に上ったことがサイバー対策企業に報告されている。 またIOT化を目指す企業とってサイバーセキュリティーは重大な課題だ。つながるデバイスが増えるということは侵入口を増やすことになる。例えばスマートフォンを自動車に繋げて便利に電話ができ、音楽を聞ける半面、近い将来、自動運転中の自動車が悪意のある侵入を許せば、命に関わる事故にもなりうる。すでにデータや金だけでなく命さえサイバー防衛のお世話になる時代であり、一過性ではない対策が必要とされる。
式典ではエネルギー相がスピーチでイスラエル電力会社が前日にかつて無いレベルの大規模サイバー攻撃を受けたと話し、会場にどよめきが起きた。ハマスから一日に100万回攻撃されたと報告する一方で、他国の核施設にウィルスを送り込んで一部を破壊したと噂されるイスラエル。餅は餅屋にサイバーは…とういうことだろうか。
参考データ
http://www.israel21c.org/startups-jostle-for-attention-as-israels-cyber-industry-takes-lead/
https://blogs.mcafee.com/mcafee-labs/hidden-costs-cyber-attack/